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生き残るための産廃ビジネスとは
高橋利行/著(INDUST2001年4月号Vol.16 No.4 通巻162号掲載)
 
はじめに

 バブル崩壊後に長引く不況と、ダイオキシン問題に端を発した規制強化により、産業廃棄物処理業の経営環境は非常に厳しくなっていると言われている。
 需要の減退による競争激化で、ダンピング競争は一層激しくなり、処理費用はなかなか上げられない。規制強化により、構造基準を満たした施設にするための設備投資をしなくてはならない。事業内容の転換を計画しても、同意が取得できないため 挫してしまう。「このまま処理業を継続していけるのであろうか」という社長の溜息とともに、そのような話が数多く入ってくる。
 たしかに、業界に追い風が吹いている訳ではない。不況と規制強化。二つの大きな嵐の中に飲み込まれているのは事実である。しかし、逆境の中にあってもビジネスチャンスの芽をつかみ、大きく飛躍していく業者があるものも事実である。
 今回、普段私が感じている事を幾つかの事例を交え らせていただいた。提言といえるほどのものではないが、「このような考えもあるのだな」程度に読んでいただき、新たな飛躍へのきっかけとなれば辛である。
  生き残るための産廃ビジネスとは
 
サービス業であると認識しよう

「品質」を売りにくい業界ではある。「品質」を売ることがなかなか出来ないから、値段の勝負となってしまう。値段で勝負となれば、いきおい安いところへ廃棄物が流れていく。顧客を繋ぎ止めるために値段を下げなくてはならなくなり、サービスの質を低下させてしまう。悪循環である。この悪循環の芽を断ち切る為には、顧客である排出事業者のニーズに応え、商品である処理内容の価値をいかに高めるかによるのである。
 廃棄物処理業はサービス業であるが、業界には、サービスを提供しているとの認識が薄い方々が数多く見受けられる。たしかに、顧客(排出事業者)との接点は営業時、契約時だけで、実際のサービス(処理)は顧客の居ない場所(処理場)で行われる。サービス内容について顧客の要望を直接聞くことが少ないため、ニーズを掴みにくいという部分がある。適正料金で適正処理は当たり前であるが、顧客はもっと他に望んでいることがあると考えていかなくてはならない。
 廃棄物処理法の改正や、近年の環境負荷低減への意識の強まりからか、排出事業者の処分見学会が多く行われるようになってきた。私も同席し排出事業者の方々と直接お話しさせていただく機会多々ある。見学に来られた方々からは、施設の設置状況、処理の状況、契約内容、廃棄物の分別方法等様々なご意見やご質問をいただくこととなる。私の方からは、廃棄物処理法の説明、ダイオキシン類対策の方法、廃棄物の分別の徹底のお願いから、ときには廃棄物の排出を抑制するためのシステム作りに対する提案をさせていただくこともある。廃棄物処理業者側の人間が廃棄物を少なくするためのお手伝いをしますと言うのであるから変な話ではある。しかし、排出量削減が顧客のニーズであれば、廃棄物処理の専門家としてその要望に応えることが責務であり、たとえ受託する廃棄物の量が減ったとしても、顧客側に立った提案をすることで、処分場の価値を高め、信用までも高めることとなると私は考える。サービス業であれば、サービスを受ける側の要望に応えるのは当たり前のことではないだろうか。
 2度の法改正により、排出事業者責任が強化されたにも関わらず、いまだ「安ければどこでもいい」という排出事業者が多いのには 易するが、このような考えの排出事業者との付き合いを継続することは、大きなリスクを背負うこととなる。安い料金で処理を引き受ければ、安い処理をせざるを得ない。前途した悪循環のなかに自ら飛び込んでいくようなもので、大きなリスクを背負うのは、処理業者の方である。
「値段で勝負」の悪循環を断ち切るためにも、サービス業であるとの認識に立ち、いかに顧客のニーズに応え、処分場の価値を高めていくかを考えていただきたい。

情報開示を積極的に行おう

 「廃棄物処理は、闇から闇へ」という時代はとうの昔に過ぎ去った。顧客は、あなたの会社の情報を欲しがっているのである。自分の依頼した廃棄物がどのように処理されているのか。残さ物はどこへ行っているのか。本当に適正に処理されているのか。このような当たり前の事だけでなく、設備状況、従業員教育、経営状況、苦情処理対応等々、全ての情報を積極的に開示することが顧客の信頼を得ることとなるのではないだろうか。
 残念なことに、色々な噂が飛び交うことの多い業界である。日のないところに立つ噂もあれば、逆もまた然りである。情報を公開していれば、あらぬ疑いをかけられることも少なくなる。
 保管基準が強化されてから、適正処理を心懸けていても行政指導を受ける処分場が多く見受けられる。行政側も、あいまいな指導を執らなくなっているから文書勧告を頻繁に行うようになってきた。行政指導は排出事業者に成り変わった一種のクレームだと考えれば、その処理を 速に行い、処理状況をも公開したほうがいいと考える。昨年、大手自動車メーカーのクレーム隠しが問題となった。情報を公開しなかったばかりに、そのメーカーは顧客の信用を失ったのである。
 クレームの内容までも公開するという姿勢が、排出事業者の信用を得ることとなるだろう。

法律を熟知しよう

 廃棄物処理業を行えるのは、知事(市長)によって許可を与えられた者だけの特権である。廃棄物処理法を熟知することは、その特権を守るための手段であり、処理業を生業とするものの義務である。法を自らすすんで犯した場合は論外であるが、法律の無知によって廃棄物処理法を犯すこととなるのは、職業意識の欠 の表れである。
 私の事務所は、廃棄物処理業許可申請を中心義務としているため、関与先である廃棄物処理業者の方とのお付き合いは収集運搬業の許可申請、新規処理施設の設置許可から従業員の講習まで廃棄物処理業を行っていく上での相談には全て応じている。相談内容で最近多いのは、循環型施設へ転換したいというものであるが、昨今の「産業廃棄物処理業全て悪」というイメージから周辺住民の同意取得が難しい所もあり、そのような施設では、現行の許可内での施設設備をお奨めしている。
 先般も、焼却を行っている業者の方から、未熱物を減量するために選別施設を設置したいとのご相談があった。焼却対象物に付着している土やセメントくず等を い、焼却物を減量化したいとのことであった。社長は、選別機の設置については、変更許可の対象となる考えていたようであり、周辺住民の同意が取得出来ないと諦め半分でご相談いただいた。しかし、この事案については、事前処理施設の設置ということで事前協議省略申請、産業廃棄物処理業変更届を提出示、選別施設を設置することが出来たのである。このように、事業範囲変更許可の対象とならない範囲でできる施設設備もある。県によっては、循環型施設への転換については同意範囲を少なくしたり、又はまったく必要ないとしているところもある。
 廃棄物処理法は、条文数が少ない法律である。条文が少ない故に制令、規則、通達に運用を委ねているため複雑で難解なものとなっている。また、一つの処分場を運営していく上では、他の環境関連法も関わってくる。これほど難しい規制の下で業務を行わなければならない業界は数少ない。しかし、自分を、家族を、従業員を守るためにも、もう一度じっくり法律を読んでいただきたい。

無駄を見つけよう

 破砕機を設置している処分場の多くは、受け入れた廃棄物を破砕し、処理場に運びだしているだけである。中間処理とはいっても、処理の内容は積替え保管と大差ない内容のところが多く見受けられる。そのような処理内容だと、最終処分場への委託費用が莫大な金額となるため、この処分費をいかに低く抑えるかが経営の重要なポイントとなっている。最終処分量をゼロにすることは不可能であろうが、まだまだ減量化、再資源化できる廃棄物が多く含まれているように見受けられる。選別の手間を考えると、そのまま最終処分場へ 出した方がいい、という言葉も多く聞くが、考えを改めないと時代の流れに取り残されてしまう。受け入れた廃棄物を一度じっくりと見つめて、捨てなくていい物を拾い出し、処理費用を低減するヒントが見つけだしてほしい。
 処分場の多くは、少しずつ処理施設を拡大してきたところが多いため、施設の配置自体に多くの無駄がある。車両の流れがスムーズに行かない配置となっているため、受け入れ車両を長時間待機させる。資源化できる廃棄物と処理しなければならない廃棄物の保管場所が明確に区分出来ていないため、選別に手間がかかる等々。処分場の中にいると無駄を発見しにくいが、いちど第三者の視点に立ち無駄を見つけてほしい。
 時間の無駄、資源の無駄、人材配置の無駄は最終的に経営に跳ね返ってくる。無駄のないスリムな経営を目指さないと、生き残って行けないのである。 

最後に

 昨年までに、21世紀の廃棄物処理の流れを決めるべく各種の廃棄物関連法が設備された。これからは、否応なく循環型社会へと流れが変わっていき、廃棄物の発生量も減少していくであろうし、発生した廃棄物は再資源化していかなくはならなくなる。旧態依然の処理業から脱却し大きく変化を求められる時期に来たのである。
 変革の時代に意識改革が出来ない者は 汰され、生き残る者には大きく飛躍するチャンスがある。本誌の読者である業者の方々には、この逆境の中を生き抜き、是非大きく飛躍していただきたいものである。
 最後に行政の方々へのお願いがある。私の関与先の多くは中小零細の処分業者である。そのような業者がいままでの廃棄物処理である。そのような業者がいままでの廃棄物処理の大部分を担ってきたと私は思っている。今、多くの業者がいままでの廃棄物処理の大部分を担ってきたと私は思っている。今、多くの業者が廃棄物処理法の理念と現実との板挟みでもがき苦しんでいる。頻繁に改正される法律、偏って定着したイメージ、マスコミのバッシング報道などにより、施設改善さえままならず、このままでは適正に処理業を行っていこうとする業者が先に倒れてしまうという状況になりなねない。廃棄物行政に携わる方々一人一人が処分業者を育てていくという考えに立ち、指導していただく事をお願いし、筆を置くこととする。 
 
産業廃棄物業界と労務管理〜廃棄物業界の特殊性とその対策の提言〜
大山太樹/著(INDUST2004年7月号 Vol.19 No.7 通巻201号掲載)
 
1:はじめに

 バブル経済崩壊後の日本経済の低迷は過去に類を見ないほどですが、このような経済状況にあって、廃棄物業界は厚生労働省が平成14年9月に実施した「サービス業就業実態調査」の「サービス業特定20業種」に選定されました。この「サービス業特定20業種」とは労働者数の増加が大きく、今後とも雇用の受け皿としての役割が期待されるサービス業の成長業種であることを示すものであります。廃棄物業界にとってこのような評価を受けることは、今後の業界の発展をさらに強めていく上で非常に歓迎すべきことではありますが、労働形態や業界特有の特殊性などに起因した様々なトラブルが最近発生しているように感じます。この状況を踏まえて、本稿では廃棄物業界の特殊性を洗い出すとともに、その効果的な対応策を考える上でのいくつかの基本となる考え方を提言してゆくことにしたいと思います。
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2:廃棄物業界の特殊性

 
(1)〜「サービス業就業実態調査」の分析

廃棄物業界の特殊性を洗い出すにあたって、前記「サービス業就業実態調査」の分析から始めることにしますが、直近の平成14年の調査では詳細な業種別統計が発表されていないので、主要数値を平成10年の調査数値に遡って考えざるを得ないことを読者の皆様にはご了解を頂きたいと思います。
 まず、「現在直面している経営課題は何か」という質問に対して、「事業の効率化・組織の再編成」と回答した廃棄物事業者が42%と最も多く、次に「事業拡大」と回答した事業者が38%となっています。次に「労働面における課題は何か」という質問に対して「就業意欲の維持向上」と回答した事業者が51.1%と最も多く、次に「賃金体系の見直し」と回答した業者が36.5%となっています。以上の回答結果を元に、着眼点を?事業の効率化・組織の再編成?事業拡大?就業意欲の維持向上と賃金体系の見直しの3つに区分してそれぞれの背景と対策を考えることといたします。

1)事業の効率化・組織の再編成

 廃棄物業界の休業日を本調査で確認すると「週1日」と回答した事業者が23.7%とサービス業全業種の9.7%に比べて非常に高い数値が出たことが確認できます。また、「1日又は1週間の所定労働時間の短縮」が必要であると回答している事業者は66.4%となっています。これは廃棄物事業者が成長段階にあり、業務の繁忙性が高いことを意味しているものと思われますが、一方で平均の廃棄物事業者の営業時間は8.5時間と全サービス業の平均営業時間11.1時間と比較して非常に短いことがわかりました。様々な業種において営業時間の延長が現在の流れになっていることを考えると、廃棄物業者の営業時間が通常の日中勤務に固定されていることがわかります。つまり現状では「営業時間を限定」している中で業務繁忙に対処しているため、所定労働時間が増加し、休日が少ない結果になっていると言えましょう。
 通常、このような状況を解決するために「交代勤務制」を導入し、その際の人員の確保については「パートタイマー」を採用するなど幅広い求人を行うことが多いのですが、廃棄物業界の交代勤務制度導入率は10.6%、パート社員比率は15%とサービス業全体の数値(交代制導入率24%、パート社員比率31%)と比較してかなり低い数値となっています。このことから、以下のことが導き出せます。

 ・廃棄物業界は所定の休日を増加させる等、所定労働時間の短縮が必要であるが、業務が繁忙であるため、なかなか解決できていない、
 ・この問題の解決に当たっては法規制の許す限り営業時間の延長が望まれる。また、時間の延長に伴って発生する労働者の身体的疲労と残業に対する割増賃金の増加というコスト増を回避するために「交代勤務制」「パートタイマー制度」といった組織再編成の手法が有効である。

2)事業の拡大

 事業拡大に際しては原則的に新事業に従事する人員を新たに確保する必要がありま
す。これに関連する調査結果として「確保したい人材はどんな人材であるか」という質問に対して「若年者」と回答した事業者が29.6%と最も多く、次いで「業務関連の資格
保有者」(27.2%)、「技術者」(22.1%)となりました。この中で注目すべきは「若年者」であろうと思います。廃棄物業界の労働者平均年齢は44.6歳とサービス業全体平均の39歳と比べて5歳以上高いのみならず、45歳以上の労働者比率は48.1%とサービス業全体平均の32.6%と比べて極めて高い比率が出ています。この理由としては以下の点が考えられます。

 イ)若年者雇用の柱となるべき「新卒者採用」の比率が少なく、「人材確保の対応策」として「新卒者採用」を挙げた事業者は僅か4.3%に過ぎません。これは廃棄物事業者のイメージが「きつい」「危険」といったことに起因していると思われます。
 ロ)若年雇用が進まない結果、「人材確保の対応策」の第2位として「定年延長」が挙げられており23.6%の廃棄物事業者が採用しています。
 ハ)「人材確保の対応策」の第1位は「中途採用」の39.2%ですが、中途採用者の83%が「異業種からの転職者」であること、及び「企業選択理由」が「安定性」となっていることから「他業種において早期退職した中高齢者が安定性を重視して廃棄物業界に入ってきた」ということが容易に想像でき、高齢化の一因となっているようです。因みに労働者の「企業選択の理由」の第2位に「知人の紹介」が挙げられており、「中高年齢者が同年代の知人を紹介する」という構図も見て取れます。

 中高齢の労働者が多いこと自体は決して問題ではありませんが、企業の継続的な安定成長のためには、適切な割合が不可欠うであることは言うまでも無いことです。
また、廃棄物業界の労働災害の発生件数は高い水準で推移しており、実際の因果関係の程は別として、「高年齢者は労働災害の発生率が高い」との通説を裏付ける結果となっていることが若年者の雇用を阻害している一因となっているかもしれません。上記のことから以下のことが導き出せると考えます。

・廃棄物業者の持つイメージから若年層の雇用が困難な情勢である。このため、中高齢者の中途採用に依存してきた結果、労働者の高年齢化が進むこととなった。

・この問題の解決に当たっては、引続き中高年齢者の雇用の受け皿となる一方で、「社内安全衛生マニュアルの作成と運用」などによって、イメージの改善を若年層にアピールすることが必要である。
 

3)就業意欲の向上と賃金体系の見直し


 「労働とは日々の生活の糧を得るためのものである。」これが、最も基本的な労働欲求(意欲)であることに異論は無いと思います。勿論、この欲求が充足されると、行動科学研究の学説のとおり最終的には「自己実現の欲求」として「自分の力を十分発揮したい」という欲求に発展してゆくのですが、いきなりこのレベルでの議論は昨今の経済不況における失業率の上昇等を考えれば妥当ではないと思います。よって、ここでは最も基本的な「衣食住に対する欲求」すなわち賃金に対する欲求との関連からこのテーマについて述べていきたいと思います。
 調査において「労働面における課題は何か」という質問に対して「就業意欲の維持向上」と回答した事業者が最も多いことは既に述べたとおりですが、この対策として「能力や業績に応じた処遇」と回答した事業者が45%と1番多数でした。これは「労働面における課題は何か」の回答で2番目に多かった回答である「賃金体系の見
直し」に対する具体的な希望と捉えることが出来ると思います。廃棄物事業者の場合、中途採用に多くを依存しているため、「前職での賃金」を参考に新賃金を決定することが多く、また、中途採用者の多くが中高年齢者であること、仕事がきついとのイメージがあるため世間相場より比較的高額な賃金設定にしないと人員が集まらな
いこと等の要因から「能力や業績に応じた処遇」にしたいとの事業者の希望につながっているものと考えられます。この状況は前述した「事業の効率化・組織の再編成」という事業者の課題とも共通した要因で、今後の廃棄物業界の成長を促す上で避けては通れない問題であり、早急な人事・賃金制度の確立が急務とななりましょう。
以上のことから次のことが導き出せます。

・業界全体の成長過程の中で発生する業務量が増加している一方で、「交代制度」などの導入が進まないために「中途採用に依存した採用活動」によって業務の繁忙に対応した結果、能力や業績に応じた賃金制度の導入が進まず不明確な賃金制度となっている。
・この問題の解決に当たっては、組織再編成の一貫として新組織の実態に即した賃金制度の導入が望まれる。

(2)実際の業務からの分析

 一口に「廃棄物業界」と言っても、業の違いや取り扱う廃棄物の内容、各事業者の規模等によって様々な業務が考えられます。業務は凡そ社内での担当業務、つまり「職種」によって区分され、筆者の経験から廃棄物業界で考えられる職種を簡単にまとめてみると、概ね以下の様に区分されるのではないかと考えます。 
 
大区分 具体的な職務内容 収集運搬業 処分業
事務職 営業(含、営業事務)
総務
人事
労務
経理
法務(許可管理、環境管理規制管理等)
運転職 運転手
収集運搬作業員
現場職 車両・施設・設備営繕管理
場内重機操作員
分別、保管作業員
焼却炉等処理設備作業員
その他 警備員
清掃員
 
 上表において、事務職はサービス業に、運転職は運送業に、現場職は製造業・建設業に、その他は警備業、清掃業に近いイメージの職種であります。この様に廃棄物処理業は簡単にまとめただけでも色々な職種が混在している事業であることがわかると思います。このことが廃棄物事業の労務管理の煩雑さを助長し、各事業者の「事業の効率化・組織の再編成」の必要性を強く認識させていることとなっているのでしょう。実際、事務職用にいくら詳細な社内ルールやマニュアルを作成したところで、全く違う特性を持った運転職にあうはずはありません。そこで、ここから次ののことが導き出せましょう。

・廃棄物事業は様々な業種の特性を持った職種の集合体であり、このことが労務管理を一層煩雑なものにしている。
・廃棄物事業において適切な労務管理を行うためには、それぞれの職種に即した体制を構築することが重要である。
 

3:業界の特殊性を踏まえた労務管理上の対策

 上記2:から導き出した廃棄物事業の特殊性から発生する問題点の解決策をまとめると以下の4点が挙げられます。
(1)「サービス業就業実態調査」から読み取れる3点
?事業の効率化を前提とした組織・就業形態の再編成
?社内安全衛生マニュアルの作成等によるイメージの改善
?再編生後の組織形態に合致した人事・賃金制度の確立


(2)業務の分析から読み取れる1点
?職種に即した体制の構築
 さらに、この4点を集約すると以下のようにまとめることが出来ます。

 廃棄物事業の労務管理において重要なことは
「実際の職種に即した?組織・就業形態、?安全衛生マニュアル?人事賃金制度を構築すること」
である。

4:終わりに

 今回の寄稿は、飽くまで問題提起と解決策を探るにあたっての基本理念を述べることが目的でしたので、それぞれの解決策を踏み込んでご説明することは致しませんでした。読者の皆様の中には「そんなことは巷でよく聞くし、もう既に認識している」とお考えの方もいらっしゃることと思いますが、「理想論を知っていること」と、「その理想論を具体的な調査統計と分析に基づいて根拠付けること」は天と地ほどの差があります。なぜならば、根拠付けられた理想論はまさに「実態に即した解決策の根本理念」に他ならず、その根本理念なくして「実際に"使える"制度」は作れないのです。よく、「制度を構築してみたものの、出来上がってみたら現場での運用にそぐわなかった」ということを耳にしますが、これは「実態に即した解決策の根本理念」をよく洗い出さなかったためであると筆者は考えます。つまり、出だしの時点で既に失敗していたのです。今回はこのことを含めて各事業者の皆様にご理解を頂きたいと思いました。
 さて、肝心な具体的な解決策についてですが、どのテーマをとっても1回の寄稿では説明し切れません。従いましてこの点については今後各種セミナーや論文発表の場において皆様にお伝えしたいと考えております。いずれにせよ、数少ない「成長産業」のひとつである廃棄物業界が骨太な成長をしてゆくことは、経済の活性化のみならず、環境問題全体の根本解決につながることと考えておりますので、この寄稿を機に人事労務関係の問題のご認識とご改善を実施され、更なる経営体質強化に役に立たんことを切に祈念してやみません。
 
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